トップ・バグハンターはソフトウェア開発者の平均給与の2.7倍稼いでいる

『Help Net Security』

January 26, 2018 08:00
by 『Help Net Security』

バグ報奨金プラットフォームのHackerOneは、100ヵ国に存在するバグバウンティハッカー(バグ報奨金ハンター)約2000人の地理的分布、人口統計、経験や利用ツール、そして動機について調査した報告書「2018 Hacker Report」を発表した。

バグハンターは週に何時間ぐらいをハッキングに費やしているのか?

HackerOneの調査では、「トップレベルの倫理的ハッカー(ethical hacker)」の報酬が、各国のソフトウェアエンジニアの平均給与の2.7倍(平均値)になることが明らかとなった。またインドのハッカーに至っては平均で16倍を稼いでいる。しかし今回の新しいデータによれば、ハッカー全体における動機の「金銭的利益」の優先順位は2016年以降、「最優先」から「4番目」まで下がっている。

倫理的ハッキングはメインストリームに

倫理的ハッキングはますますメインストリームとして認識されるようになってきたが、それでも克服しなければならないハードルはまだ存在している。Forbes Global 2000に選ばれた企業(世界の公開企業上位2000社)の94%は、脆弱性開示のポリシーを公表していない。そのため4人に1人ちかくのハッカーは、発見した脆弱性を「受け付ける窓口がない」という理由で報告しない。しかし同時に72%のハッカーは、「企業が脆弱性の情報を(以前よりも)取り入れはじめている」とも報告した。

「ハッカーたちは我々みんなのために毎日、インターネットをより安全なものにするべく、企業や政府機関に何千件もの脆弱性を報告している」と、HackerOneのCEO、Marten Mickosは述べた。「我々は、このレポートに示されている彼ら一人一人のスキルの高さ、情熱、そして高潔さに圧倒されている。倫理的ハッカーのコミュニティの活動は、セキュリティ侵害のリスクを大幅に軽減するものだ」

主な調査結果

調査対象となったハッカーたちの4分の1は年収の50%以上を報奨金が占めており、14%のハッカーは年収の90%から100%を報奨金が占めていると回答した。またHackerOneのハッカーの約12%はバグ報酬金制度で年間2万ドル以上を稼いでおり、3%超が年間10万ドル以上、そして1%は年間35万ドル以上を稼いでいる。

HackerOneで成功したバグバウンティハッカーの90%以上は35歳未満で、HackerOneのハッカー全体の45%は18歳から24歳である。そしてハッカーの37%は「時間のあるときに趣味としてハッキングを行っている」と答えた。

ハッキングに利用するツールは何か?

単独行動と周囲からの学び

ハッカーの約3分の1(30.6%)は単独で働くことを好んでいるが、31.3%は他のハッカーのブログや公開された脆弱性情報を読み、そこから学びたいと考えている。またハッカーの13%は他のハッカーと働くこともあり、9%は定期的に他のハッカーと働いている。そして8.7%のハッカーは他のハッカーのメンター/メンティの役割をしており(指導する/指導される関係にあり)、7.1%はチームの一員として、少なくとも1件のバグレポートを他のハッカーと共に提出している。

倫理的ハッカーになるなら、いまが格好のときだ。ゼネラルモーターズ、GitHub、ルフトハンザ、任天堂、Spotify、スターバックス、米国防総省、そのほかにも1000を超える組織が、セキュリティの脆弱性を素早く発見し、それを修正するために世界中のハッカーコミュニティと協働している。
 
翻訳:編集部
原文:Is ethical hacking more lucrative than software engineering?
※本記事は『Help Net Security』の許諾のもと日本向けに翻訳・編集したものです。情報・データはHelp Net Securityが公開した当時のものです。

THE ZERO/ONE編集部より

バク報奨金サービスのHackerOneは、これまで約16万6000人のハッカーが登録し、認められた脆弱性は7200以上、支払われた報奨金は2350万ドル(約25.9億円)と、その規模は膨大だ。Help Net Securityの記事にリンクをされていないが、このHackerOneのレポートはここからダウンロード可能だ(氏名やメールアドレスの登録は必要)。このレポートは1698人から回答を得ており、大変興味深いレポートとなっている。

この記事ではレポートのポイントをおさえている。しかし、
「今回の新しいデータによれば、ハッカー全体における動機の「金銭的利益」の優先順位は2016年以降、「最優先」から「4番目」まで低下している」
の部分は、編集部も含めて読者のみなさんも気になるところだろう。元のレポートを見てみると、ハッカーたちが脆弱性を探す際の理由は、以下のような順位になっている。
 
1位 ハッキングのテクニックとヒントを学ぶため(14.7%)
2位 ハッキングに挑戦したい(14%)
2位 ハッキングを楽しむため(14%)
4位 金銭的利益のため(13.1%)
5位 キャリア形成のため(12.2%)

このように「金銭目的」の動機は4位になっている。しかし、別項目の質問にある「ハッカーたちが脆弱性調査の診断先に選ぶ会社の理由は何か?」に対しては「報奨金額」が1位となっているのは面白い。モチベーションとしてお金は重視しないけど、診断先を選ぶときの基準は報奨金額……というのが、いちばん多いバグハンターの姿なのかもしれない。

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