Torブラウザーに存在する「未知の脆弱性」に懸賞金1億円

『Security Affairs』

September 27, 2017 08:00
by 『Security Affairs』

ゼロデイ研究に長けたセキュリティ企業「ZERODIUM」が、Torユーザーの匿名化を解く「インターネットを利用したTorブラウザーのエクスプロイト」に100万ドル(約1億円)の報奨金を支払うと発表した。ZERODIUMは、Torブラウザーのエクスプロイトを法執行機関や政府機関へ転売しようとしている(公式には「(捜査においてTorユーザーを非匿名化するための、よりよい手段を彼らに提供する」という目的だと説明している)。

同社は「Windows環境」、およびプライバシーを重視したLinux ディストリビューション「Tails環境」で利用されるTorブラウザーのエクスプロイトの発見に取り組んでいる。

「プレミアムなゼロデイ収集プラットフォーム『ZERODIUM』は、Torブラウザーのゼロデイ報奨金を発表し、それをホストします。ZERODIUMは、Tails LinuxおよびWindows環境でのTorブラウザーのゼロデイ攻撃を得られた方に、総額100万ドル(約1億円)の報酬を支払います」とZERODIUMの発表には記されている。「この報奨金制度は、2017年11月30日午後6時(EDT)まで有効ですが、研究者への支払いの総額が100万ドルに達した場合は、それよりも前に締め切らせていただく可能性があります」

このTorブラウザーに関する報奨金制度は11月30日までとなっているが、報奨金の総額を払いきった場合には早期に終了する場合がある、と同社は加えて述べている。

同社は「JavaScriptをブロックしている状態の、セキュリティが厳しく設定されたTorブラウザーでも動作するエクスプロイト」に最も高額な報酬を支払う予定だ。一方、JavaScriptを許可している(つまりセキュリティ設定が「甘い」)ユーザーのみを非匿名化するエクスプロイトに対しても報奨金の支払いを申し出ている。

「ZERODIUMは、新しい技術的な課題の、一段と高いハードルを設定します。『JavaScriptをブロックしているTorブラウザーでも機能する、完全なゼロデイエクスプロイトを開発してください!』 JavaScriptの利用を許可している環境のTorブラウザーに対するエクスプロイトも認められますが、報奨金の額は低くなります(下記参照)」と記されている。

ZERODIUMは、狙ったユーザーを罠にかけ、「特別に作り上げられたウェブページ」を訪問させるために利用できるエクスプロイトを求めている。

発表された価格表の全体は次のとおり。

リモート・コード・エグゼキューション(RCE)とローカル権限昇格(LPE)の両方を達成するエクスプロイトが、JavaScriptをブロックした(Tor)ブラウザーで、かつWindows 10とTails 3.xの両方で動作する場合には、最大25万ドル(約2500万円)の報奨金を得ることができる。そのエクスプロイトが「いずれか片方のOSのみで利用できるもの」だとしても、最大20万ドル(約2000万円)の価値がある。

片方のOSのみで働くエクスプロイトでも最大20万ドルとなりえるが、JavaScriptをブロックした環境で利用できる「権限昇格ができない、リモートコードエグゼキューションのみのエクスプロイト」の場合は最大で18万5000ドル(約1850万円)となる。

JavaScriptを許可した環境のブラウザーのみで利用できるエクスプロイトの場合は、それがコード実行と権限昇格の両方を達成するものであれば最大12万5000ドル(約1250万円)、コード実行のみであれば最大8万5000ドル(約850万円)だ。

Zerodiumは今年8月にも、人気のインスタントメッセージサービス、およびメールのアプリケーションでリモートコードエグゼキューション、および権限昇格を行える脆弱性に最高50万ドル(約5000万円)の支払いを申し出ていた
 
翻訳:編集部
原文:Zerodium is offers $1 Million for Tor Browser Exploits
※本記事は『SecurityAffairs』の許諾のもと日本向けに翻訳・編集したものです。情報・データはSecurityAffairsが公開した当時のものです。

ニュースのポイント(THE ZERO/ONE編集部より)

Zerodiumといえば、サイバー技術者・犯罪者からゼロデイ(未知の脆弱性)を買い取り、政府や諜報機関などに再販するセキュリティ会社だ。このビジネスには賛否両論あるが、セキュリティ関係者・興味がある人間であれば、同社が公開する買い取り価格が「とても参考になる」のは間違いない。

Zerodiumが公開している、ゼロデイに関する支払いは以下のような値段になっている(画像をクリックで拡大)。

デスクトップサービスの最大金額ランクが「30万ドル」であることを考えると、今回発表したTorのゼロデイ買い取り金額「総額100万ドル」というのは、どれぐらい凄いことなのかわかる。

Zerodiumの気合いをいれた金額を見ると、現在公開されているTorブラウザーの「ゼロデイ」を、政府や捜査機関はまだ把握していないのか、と推測してしまう。そして「Torブラウザーのゼロデイ情報」を何としてでも知りたい顧客の存在もまた不気味である。

もしTorブラウザーの未知の脆弱性を発見したら、開発元である「Tor Project」に連絡してプログラムの修正を待つか、それともZerodiumに報告して多額のお金を手にするか、あなたはどちらを選択する?




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