ドイツの原子力発電所が「混乱を引き起こす」レベルのサイバー攻撃を受ける

『Security Affairs』

November 1, 2016 11:30
by 『Security Affairs』

IAEAの事務局長 天野之弥氏が、ドイツの原子力発電所がサイバー攻撃によって混乱をきたしたというニュースを公式に認めた。

国連の原子力監視機関である国際原子力機関(IAEA)の長、天野之弥事務局長によると、ドイツの原子力発電所が2〜3年前に「混乱を引き起こす」サイバー攻撃に見舞われたという。

「原子力関連施設や事業へのサイバー攻撃の問題は、きわめて深刻に受け止めなければならない。我々が全てを把握しているのか、氷山の一角に過ぎないのかはわからない」と天野氏はロイターに語った

「これは仮想的なリスクではない」とドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー外務大臣とのミーティングにも参加した天野氏は付け加えた。原子力発電所へのサイバー攻撃が深刻な脅威であるということを天野氏は認めているが、インシデントの詳細については公表していない。

幸いにも、ドイツの原子力発電所へのサイバー攻撃に因る被害によってオペレーターが運転を停止させられることはなかった。しかしさらなる予防策の採用を強いられることとなった。

「これは実際に起きたことであり、いくつかの問題を引き起こした」と彼は話した。「(ドイツの発電所)は予防策を講じる必要があった」

攻撃が公に議論されるのは今回が初めてであると天野氏は付け加えた。彼はまた、「汚い爆弾(ダーティボム)」を製造する目的で少量の高濃縮ウランを持ち込もうとした、個人の例についても報告した。

注意すべきなのは、攻撃は「混乱を引き起こす」ようなものであったが、「破壊的」ではなかったことだ。この2つには相当な違いがあるということを理解してほしい。混乱を引き起こすという言葉は、発電所の完全な破壊につながることなく内部のコンピューターシステムを破壊することができるサイバー攻撃の種類を指す。混乱を引き起こす攻撃の例は、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントに対する攻撃やStuxnetである。

我々が原子力発電所へのサイバー攻撃のニュースを聞いたのは今回が初めてではない。一般的に知られている原子力発電所への攻撃は3件ある。

天野氏が言及していたのは、今年初めに起きたグンドレミンゲン原子力発電所へのサイバー攻撃のようだ。この事例では、セキュリティ専門家らがマルウェアであるConfickerRamnitを検知した。

セキュリティ専門家らは、ハッカーが世界中の原子力発電所に深刻な影響を引き起こすかもしれないという可能性に気付いている。

3月に発表されたレポートによると、ドイツは原子力発電所へのテロリストの攻撃を防御するための十分な備えをしていないようだ。原子力発電所に関する独立の専門家であるOda Becker氏がこのレポートを発表した

特に最近ベルギーで相当な犠牲者を出した悲惨な出来事を鑑みると、当然これは非常に頭の痛い問題だ。

このレポートは、ドイツ環境・自然保護連盟(BUND)の会合において一般の注目を集めた。この会合では、他のテロ攻撃の破壊的な行為から国民を守ることへの関心が示された。

IAEAはサイバー攻撃からのインフラの回復力を改善するための一連の対策によって、複数の国家を支援してきたと天野氏は説明している。

「IAEAはトレーニングや131ヵ国からの情報を含む詳細なデータベース、放射線検知装置の提供などにより、国家がサイバー面や全般的な原子力のセキュリティを強化する手助けをしている、と天野氏は説明した」とロイターは報じた。
「2010年以降、IAEAは警察官や国境警備隊を含む1万人以上に原子力セキュリティの訓練を実施している。また、核物質やその他の放射性物質を検知するための携帯電話サイズの機器3000台以上を国家に配布している」
 
翻訳:編集部
原文:Shocking, a German nuclear plant suffered a disruptive cyber attack
※本記事は『SecurityAffairs』の許諾のもと日本向けに翻訳・編集したものです。




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