SecurityAffairsの世界ハッカーインタビュー (7) スマートシティの脆弱さを危惧する「Cesar Cerrudo」

『Security Affairs』

August 9, 2016 08:00
by 『Security Affairs』

今日は Cesar Cerrudo氏へのインタビューをお送りする。彼は IOActive LabsのCTOであり、ICS/SCADAやスマートシティ、IoT、ソフトウェアセキュリティの研究で有名な人物だ。

Cesar Cerrudo氏はIOActive LabsのCTOで、ICS/SCADAやスマートシティ、IoT、ソフトウェアセキュリティに関するまさに最先端の研究を実施するチームを率いてる。

Cesar氏はハッキングを人生の哲学として選んでいる。彼は我々の社会がいかに脆弱かを証明し続ける研究を行う、世界で最も有能な専門家の一人である。それでは、インタビューをお楽しみください。

Q:まずはお礼を述べます。あなたは最も有能なハッカーの一人でありながら、そのような専門家の中でも一歩進んでいると私は考えています。それは、あなたの研究は身の回りで使われているスマート機器のハッキングに関するリスクについて、その見解を一般の人に提示しているからです。信号のコントロールシステムに関する研究は議論沸騰でしたね。

技術的な経歴とハッキングを開始した時期について教えてください。

A:私にはソフトウェアエンジニアリングの経験はあるが、大学は卒業していない。大学の全プログラムをこなしたが、受けなかった最終試験もあるので資格を得られなかった。私はもっと有益なことを勉強するのに忙しくかったのだ(笑)。私はいつだってテクノロジーを徹底的に調べるのが好きだった。インターネットにアクセスし始めたころ、ついにハッキングに足を踏み入れて多くのことを学び、様々なことに挑戦し始めた。これは約18年前のことだ。容易なことではなかったが、私は一生懸命頑張り、興味深いことをやり、カンファレンスで発表し、世界中を旅するということを始めることができた。

Q:最大のチャレンジについて教えてください。

A:Microsoft Windowsの内部(カーネルやIPC等)へのハッキングが困難だと思う。なぜなら、多くのことを学ぶ必要があるにも関わらず、十分な参考文献がないので、興味深い脆弱性やエクスプロイト技術、エクスプロイトそのものを思い付くにはリバースエンジニアリングをしたり、Microsoft Windowsの様々なバージョンを多数テストしたり、多くの防御を回避しなければならないからだ。

Q:ハッカーの必需品として欠かせないツールとその理由を教えてください。

A:主要なツールはバイナリエディター、優秀なデバッガー、それにCコンパイラかスクリプト言語のインタープリター、良い逆アセンブラなど、いくつかのツールがあれば何でもでき、必要であれば他のツールを作ることもできる。

Q:今日ウェブ上で最も面白いハッキングコミュニティーを教えてください。

A:最近はハッキングコミュニティーに属していないのでこれに関しては分からない。すごい物を共有したり面白いトピックについて議論しているようなコミュニティが良いのでないだろうか。

Q:サイバー攻撃に最も晒されている業界(ヘルスケア、自動車、通信、金融など)とその理由を教えてください。インターネット上で危惧していることは何ですか。

A:ヘルスケアは他の業界よりも危険に晒されている。なぜなら、ヘルスケア業界は一般的に優れたサイバーセキュリティを備えていないことが明らかになっており、かつ人の命やセンシティブな情報を取り扱っているからだ。

インターネット上の何かに不安を覚えているということはない。私が本当に心配しているのは、どれほど多くの重要かつ重大なシステム(インフラやヘルスケアなど)が、攻撃可能な状態でハックに晒されているかだ。実際に起こらないことを願うばかりだが、そのうち誰かの命を奪うようなサイバー攻撃に見舞われると私は考えている。サイバーセキュリティが改善されなければ、後は単に時間の問題だ。

Q:テクノロジーが支配し、我々の生活を楽にするような場所であるスマートシティについて耳にすることがあります。しかし残念ながら大多数の場合、スマートシティプロジェクトには「設計段階からのセキュリティ(セキュリティ・バイ・デザイン)」が欠けています。近代的な都市のスマートコンポーネントに対する深刻なサイバー攻撃の具体的なリスクを信じていますか。

A:先程話した通り、都市のシステムを含め攻撃が容易なシステムは多数あり、単に誰がこれらのシステムをハックし、攻撃を開始しようと決心するかというだけの問題となっている。こういったシステムが攻撃されるという可能性は存在し、それは現実だからだ。我々は幸いにもまだこのような攻撃を目にしていないが、明日何かが起こっても私は驚きはしないだろう。世界中の都市の大部分は、様々な場所に新しい技術を導入してスマート化されてきている。一番の問題は、このような技術のほとんどが安全なものではなく、関連するリスクやリスクを軽減するためにすべき措置について都市の管理者が理解していないということだ。
 
翻訳:編集部
原文:Hacker Interviews – Cesar Cerrudo
※本記事は『SecurityAffairs』の許諾のもと日本向けに翻訳・編集したものです。




ハッカーの系譜(10)マービン・ミンスキー (10) 多層化することで問題を解決

March 30, 2017 08:00

by 牧野武文

多層化することでXOR問題を乗り越えられる パーセプトロンの第1の進化は多層化だ。ミンスキーが指摘したように、パーセプトロンはXORの論理演算結果を学習することができない。前回示したように、XORの演算結果は線形分離不可能、つまり直線で真と偽のグループにわけることができないからだ。 しかし、実はちょ…

POSマルウェアの恐怖 (4) クレジットカード番号が顧客番号や業務処理のキーとして活用される

March 29, 2017 08:00

by 牧野武文

  ・POSマルウェアの恐怖(1) PCI DSSに準拠しても防げない? 狙われるPOSシステム ・POSマルウェアの恐怖(2) カード情報が平文で通信されるシステム ・POSマルウェアの恐怖(3) カード情報を全プロセスで暗号化する「PCI P2PE」はPOSマルウェア攻撃を防げるか POSレジを…

IoTヌイグルミは口が軽い!? ユーザー情報82万件がダダ漏れに(後編)

March 28, 2017 08:00

by 江添 佳代子

  →IoTヌイグルミは口が軽い!? ユーザー情報82万件がダダ漏れに(前編) →IoTヌイグルミは口が軽い!? ユーザー情報82万件がダダ漏れに(中編) 何も知らされていなかったユーザー ここでいったん時系列を確認しよう。ハントやロレンゾに情報を提供した人物がCloudPetsへの連絡を試みたのは…

中国で9億アカウントが利用する「WiFi万能鍵」が1308種類の偽アプリを一掃

March 27, 2017 10:30

by 牧野武文

『中国経済網』の報道によると、中国で大人気のアプリ「WiFi万能鍵」を開発した上海連尚科技有限公司は、今年3月までに、1308種類の偽アプリを一掃したと発表した。 アカウント数9億件を超える無線LANユーティリティーソフト WiFi万能鍵は、公衆無線LANに自動接続するAndroid・iOSアプリ。…